ただ「ちゃんと考えて使おうね」だけでは残りにくい
子どもにお金のことを伝えるとき、つい「ちゃんと考えて使おうね」と言いたくなります。 でも、親として感じるのは、言葉だけだと意外と残りにくいということです。
わが家では、長女に月1000円のお小遣いを渡しています。使った日付、用途、金額をメモして、あとで親子で振り返るようにしています。 それでも、使い方を見ていると、「買う」「使う」だけではなく、お金がどう動いているのかを体で分かっていないと、選び方はなかなか変わらないのかもしれない、と感じます。
長女は、正直かなりムダ遣いが多いタイプです。 買った直後は満足していても、あとで「これ、なくてもよかったかも」となることがある。そんなとき、親として正解を押しつけるより、お金の流れそのものを遊びの中で見せるほうが合っているのではないか、と思うことがあります。
そこで役に立ちそうなのが、しくみ理解型のごっこ遊びです。 お店屋さんごっこに少しだけ「働く」「払う」「選ぶ」を足して、経済の基本を体験させるイメージです。
ごっこ遊びで見えてくるのは「買う前」の部分
子どもにとっては、欲しいものを見つけて買うところがいちばん分かりやすいです。 でも、買う前にはいろいろな見えない流れがあります。
たとえば、
- 仕事をする
- お金を受け取る
- 何に使うか決める
- 足りなければ我慢する
- 選んだら、別のものはあきらめる
このあたりは、大人にとっては当たり前でも、子どもには見えにくいんですよね。 だからごっこ遊びで、この「見えない部分」を机の上に置いてみると、お金の理解が少し立体的になります。
たとえば、ただ商品を売るのではなく、
- 商品を並べるには準備がいる
- 材料がないと作れない
- 売れたらお金が入る
- でも売れ残ることもある
という流れを入れるだけでも十分です。
ここで大事なのは、子どもに本格的な経済を教えることではありません。 お金は勝手に増えない、使うと減る、選ぶときには何かをあきらめている。 この感覚が、遊びの中で少しでも残ればよいのかなと思います。
わが家なら、まず「働く側」の感覚を混ぜる
ごっこ遊びというと、お店屋さん役とお客さん役を分けるのが定番です。 それはそれでいいのですが、わが家なら「働く側」の感覚も混ぜたいです。
たとえば、こんな流れです。
- 子どもが「お店屋さん」
- 親が「お客さん」
- でも商品は無限に出てこない
- 並べるには準備が必要
- 売れたらうれしい
- でも在庫は減る
折り紙の作品や、紙に書いたメニューでも十分です。 「これを売るには、まず作らないといけないね」 「全部売れたらうれしいけど、残ったらどうする?」 そんな会話があるだけでも、ただの買い物ごっこより少しだけ本物っぽくなります。
長女くらいの年齢だと、「たくさん作ればたくさん売れる」と思いやすいかもしれません。 でも実際には、作るのにも時間がいるし、売れるかどうかも分からない。 ここを遊びの中で体験すると、稼ぐ力は「頑張ること」だけではなく、 相手が欲しいものを考えることでもあると伝わりやすくなります。
会話の例
- 親「これを並べるには、まず作らないとね」
- 子「でも早くお金ほしい」
- 親「そうだよね。すぐもらえると楽だけど、先に準備することもあるんだよ」
- 子「じゃあ作ればいいの?」
- 親「うん。でも全部作ればいいわけでもないかも。どれが売れそうか考えるのも大事かもね」
親が正解を急がないほうが、子どもは「どうしたらいいんだろう」と考えやすいです。
小さな失敗があると、遊びは急に本物っぽくなる
この記事で特に大事だと思うのは、失敗をきれいに消しすぎないことです。 子どもの失敗は、親としてはつい助けたくなります。 でも、ごっこ遊びの中なら、小さな失敗を安全に経験できます。
たとえば、
- 仕入れすぎて売れ残る
- 使いすぎて次の遊びで足りなくなる
- 値段を高くしすぎて買ってもらえない
- 欲しいものを優先して、別のものを買えなくなる
こういうことは、実生活では避けたい場面です。 ただ、遊びの中なら学びになります。
長女のように少しムダ遣いが多い子には、 「買ったあとにどうなるか」まで見せられるのが大きい気がします。 欲しいものを前にしてすぐ決めるのではなく、
- その予算で何個買えるか
- 今日はどれを優先するか
- 次回に残すか
を一緒に考える。 そして、選んだ結果として「今回はもう買えない」が起こる。 この小さな不便さが、あとで効いてくるのだと思います。
もちろん、あまりに困らせると遊びが楽しくなくなります。 なので、わざと失敗させるというより、少しだけ困る状況を残すくらいがちょうどよさそうです。
子どもが「値段」を意識すると、選び方が変わる
ごっこ遊びに入れたいもう一つの要素が「値段」です。 ただし、難しい計算は必要ありません。感覚で十分です。
| 価格の例 | 子どもの感覚 | 学びにつながるポイント |
|---|---|---|
| 100円 | 1枚で払える | 少額の感覚がつかみやすい |
| 300円 | 3枚必要 | 足りるかどうかを考えやすい |
| 500円 | かなり大きい | 使う前に迷う経験につながる |
こうすると、子どもは「欲しい」に加えて「足りるかな?」を考えるようになります。 この“足りるかな?”が、選ぶ力の入口です。
こんな会話ができます
- 親「これ、300円だよ」
- 子「じゃあ買える?」
- 親「今いくら持ってる?」
- 子「200円」
- 親「じゃあ100円足りないね」
- 子「えー!」
- 親「足りないときは、何をあきらめるか考えることになるね」
このやりとりは、実際のお小遣いにもつながります。 わが家でも、長女のお小遣いを見ていると、欲しいものがあっても全部は買えない場面があります。 そのたびに親としては少しもどかしいのですが、ここを急いで埋めすぎないほうが、選ぶ力は育ちやすいのかもしれません。
ごっこ遊びに「値段」を入れると、子どもは「欲しい」だけでなく「足りるかな?」を考えるようになります。 この感覚が、選ぶ力の入口になります。
家にあるもので十分。準備はシンプルでいい
ごっこ遊びは、特別な教材がなくても始められます。 むしろ、凝りすぎないほうが続けやすいです。
用意するもの
- 紙で作ったお金
- 折り紙やメモ用紙の商品
- いらない箱や封筒
- 100円、200円、500円などの簡単な値札
進め方
1. 商品をいくつか作る 2. 値段をつける 3. お金を払わないと買えないルールにする 4. 売れ残りを少し残す 5. 「どうして売れなかったんだろう?」と振り返る
この最後の振り返りが、思った以上に大事です。 子どもは「売れなかった」ことそのものより、なぜ売れなかったのかを考えるところで学びます。
- 高すぎた?
- こっちのほうが人気だった?
- みんなが欲しいものと違った?
こんな問いかけをすると、子どもなりに理由を探し始めます。 親が答えをすぐ言わず、少し考える時間を残すのがポイントかもしれません。
あまりに困らせると遊びが楽しくなくなるので、わざと失敗させるのではなく、少しだけ困る状況を残すくらいがちょうどよさそうです。
親としては、正解を教えるより「考える場」を残したい
こういう遊びをしていると、親のほうも迷います。 どこまで失敗させるか、どこで助けるか、どこまで経済っぽくするか。 正直、毎回うまくいく気はしません。
でも、子どものお金との付き合い方って、最初からきれいに整えるものでもないのかなと思っています。 失敗して、悔しくて、また考えて、少し選び方が変わる。 その繰り返しのほうが自然です。
長女にはすでにお小遣いの経験がありますが、それでも「お金を使うこと」と「お金が動くしくみを理解すること」は別だと感じます。 だからこそ、ごっこ遊びみたいな軽い形で、稼ぐ側の気持ちや選ぶときの迷いを一緒に味わうのは意味がありそうです。
まずは10分、短く試すだけでも十分
お金のしくみごっこ遊びは、長時間やる必要はありません。 10分くらいでも、入口は見えます。
たとえば、今日できること
- 家にある紙で「お金」を作る
- 3つだけ商品を並べる
- 値段をつける
- 売れ残りを1つ作る
- 「どうしたら売れるかな?」を一緒に話す
大事なのは、子どもに正しい答えを渡すことではなく、お金の流れを遊びの中で見せることだと思います。
わが家でも、完璧に教えられているわけではありません。 それでも、説明だけで終わらず、体験として残る形を少しずつ増やしたい。 そんな気持ちで、これからも試していきたいです。

