子どもが「欲しい」と言ったとき、親がいちばん迷う
子どもと買い物に行ったとき、「これ欲しい」と言われる場面は、親としてなかなか悩ましいものです。 その場で買ってあげるべきか、やめておくべきか。ついすぐ答えを出したくなりますが、毎回そこで終わってしまうと、子どもが「なぜ欲しいのか」「本当に必要なのか」を考える前に話が切れてしまいます。
わが家でも、長女が文房具やお菓子、ガチャガチャなどを見て「これ欲しい」と言うことがあります。 私はつい、買うかどうかを早く決めたくなるのですが、そこで頭ごなしに止めるより、少し順番をつくったほうがうまくいくことがありました。
その順番が、待つ・比べる・決めるの3段階です。 親の感情で押し切るのではなく、買い物そのものを考える練習に変えていくやり方です。
子どもの「欲しい」をすぐ否定せず、待つ・比べる・決めるの順で会話すると、買い物が学びの場になります。
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1. まずは「待つ」
欲しい気持ちを、いったんそのまま受ける
「待つ」といっても、我慢させることが目的ではありません。 最初にやるのは、子どもの気持ちを否定しないことです。
たとえば、スーパーやお店で長女が「これ欲しい」と言ったとき、いきなり「ダメ」と切るより、
- 「欲しいんだね」
- 「いったん見ておこうか」
- 「あとでもまだ欲しかったら考えようか」
と返すほうが、空気が荒れにくいです。
子どもの「欲しい」は、その瞬間の気分が強く出ていることもあります。 大人でも、店頭で見た勢いで買ってしまって、家に帰ると「そこまで必要じゃなかったかも」と思うことがありますよね。子どもなら、なおさらです。
#### 待つときに使いやすい言い方
- 「今すぐ決めなくてもいいよ」
- 「少し見てから考えようか」
- 「今日は見るだけにしてみる?」
- 「あとでまだ欲しかったら、また考えよう」
ここで大事なのは、親が最初から結論を急がないことです。 その場で買わないとしても、まずは気持ちを受ける。 それだけで、子どもは話しやすくなります。
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2. 次に「比べる」
ほしい理由を、少し外から見てみる
待つだけだと、ただ先延ばしにしただけで終わってしまいます。 そこで次に入れるのが「比べる」です。
比べるといっても、値段だけを見る話ではありません。 何と比べるかが大事です。
たとえばわが家なら、こんなふうに聞くことがあります。
- 「家に似たもの、なかったかな?」
- 「それ、何がいちばんいいの?」
- 「今あるものと、どこが違うんだろう」
- 「同じお金を使うなら、ほかにできることあるかな」
長女はすでに月1000円のお小遣いを使っているので、買い物のたびに「今あるお金で本当にこれを選ぶのか」を考える場面があります。 そのとき、親が答えを先に言うより、本人が比べてみるほうが納得しやすいことがありました。
比べるときの会話例
| 場面 | 親の声かけ | 子どもの反応の例 | ねらい |
|---|---|---|---|
| 文房具を見ているとき | 「これ、前に買ったものとどう違う?」 | 「色がちがう」 | 違いを言葉にする |
| お菓子を見ているとき | 「これを買うのと、家で食べるおやつに残すの、どっちがいいかな」 | 「うーん……」 | 使い道を比べる |
| ガチャガチャを見ているとき | 「欲しいのは、見た目かな? それとも中身かな?」 | 「これが出たらいい」 | 欲しい理由を整理する |
この「比べる」は、欲しい気持ちを消すためではありません。 欲しい気持ちを、少し客観的に見るためにやります。
親が「これは無駄」「これはやめなさい」と結論を押しつけると、子どもは考える前に防御モードになりがちです。 でも、比べる形にすると、子ども自身が違いを言葉にしやすくなります。
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3. 最後に「決める」
親が決めるのではなく、子どもが選ぶ練習にする
3段階目は「決める」です。 ここでようやく、買うか買わないかを考えます。
親としては、ここでつい先回りして
- 「やめておいたら?」
- 「それは今じゃなくていいんじゃない?」
- 「こっちのほうがよくない?」
と言いたくなります。 でも、毎回親が決めてしまうと、子どもは「欲しい」と言うこと自体をやめるかもしれません。 それでは、考える練習になりにくいです。
なのでわが家では、できるだけ最終的に本人が選ぶ形を意識しています。 もちろん、年齢によってできることは違います。 9歳の長女なら、少し時間をかければ「今日は買う」「今回はやめる」が考えられます。 5歳の次女には、まだ「これはお金がいるんだよ」「今日は見るだけにしようね」と短く伝えることが中心です。次女はまだ、お金の感覚そのものがこれから育っていく段階だと感じています。
決める場面での声かけ例
- 「今日は買う? それとも次にする?」
- 「買うなら、ほかに我慢するものがあるかもね」
- 「お小遣いで買うなら、今ある分で足りるかな」
- 「今日は写真だけ撮って帰るのもありだね」
特に、買い物中は気持ちが高ぶっているので、その場で完結させないほうがうまくいくことがあります。 「いったん帰ってから考える」は地味ですが、かなり使えます。 時間を置くと、欲しい気持ちが少し落ち着いて、「やっぱり必要だった」「思ったよりいらなかった」が見えやすくなります。
長女のように、すでにお小遣い制度を始めている場合は、「今あるお金で買うのか」「次のお小遣いまで待つのか」を考える機会にもなります。 このとき大事なのは、親が答えを急いで出しすぎないことです。 本人が選んだ結果なら、たとえ買わない決断でも、納得感が少し残りやすいと感じます。
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こんなメリットがある
この3段階のよいところは、親が買う・買わないを全部背負わなくていいことです。 同時に、子どもにも少しずつ考える余地が残ります。
1. 衝動で決めにくくなる
その場の勢いだけで買う回数が減りやすくなります。
2. 比べる力が育つ
似たもの、使い道、お金の使い方を見比べる習慣がつきます。
3. 決める経験になる
「欲しい」だけで終わらず、自分で選ぶ経験になります。
4. 親の説教が減る
「ダメでしょ」と言い続けるより、会話として進めやすくなります。
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気をつけたいこと
このやり方は便利ですが、毎回じっくりやる必要はありません。疲れている日や急いでいる日は、「今日は見るだけね」と短く終えるのも十分です。
このやり方にも、少し注意点があります。
1. 毎回長くやる必要はない
疲れているときや急いでいるときに、毎回じっくり比べるのは現実的ではありません。 そんな日は、短く「今日は見るだけね」で終えることもあります。
2. 親の本音は丸見えになる
親が内心「どうせ買わない」と思いながら話すと、子どもにも伝わります。 だからこそ、言い方だけでも少しやわらかくしておくほうが続けやすいです。
3. 何でも我慢の話にしない
この記事の目的は、「欲しいものを我慢する訓練」ではありません。 欲しい気持ちを消すのではなく、買う前に考える流れを身につけることです。
4. 年齢に合わせて期待値を変える
9歳と5歳では、できる会話の深さが違います。 長女には少し説明して考えさせる余地がありますが、次女には短くシンプルな声かけのほうが合っています。 同じ言い方でそろえなくてもいい、というのも親として覚えておきたい点です。
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わが家で感じたこと
私は自分自身、親からお金の教育をほとんど受けてこなかったので、子どもにはできるだけ丁寧に伝えたいと思っています。 今は投資や税金のことも少しずつ学びながら、家庭でのお金教育をどう続けるか考えているところです。 だからこそ、買い物の場で「買う・買わない」だけを扱うのではなく、どう考えるかを残したいです。
実際には、いつもきれいにいくわけではありません。 忙しい日は流してしまうこともありますし、長女が納得しきれずに終わることもあります。 それでも、親が毎回同じ流れで関わると、少しずつ家庭の型になっていく感覚があります。
- まず気持ちを受ける
- 次に比べる
- 最後に本人が決める
この順番だけでも、買い物がただの消費ではなく、学びの場になることがあります。
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今日から試すなら、この一言で十分
いきなり完璧にやる必要はありません。 まずは、子どもが「欲しい」と言ったときに、
「いったん待って、比べてから決めようか」
と返してみるだけでも十分です。
買い物の場は、親が答えを教える場ではなく、子どもが考え方を覚える場にもなります。 その最初のきっかけとして、この3段階はかなり使いやすいと感じています。

