この記事は「ごっこ遊びでお金のしくみを体験させる」からの派生です。

“お金のしくみごっこ”で損したきに何を言うべきか
子どもにお金のことを伝えるとき、うまくいく話だけでは足りないなと思うことがあります。 「増えると思ったのに減った」 「得したはずが、なんだか違った」 そんな違和感に出会ったときのほうが、子どもの記憶に残りやすいからです。(失敗経験でも良いと思います)
ただ、ここでいうのは本物の投資の話ではありません。 子どもに金融商品を触らせるような話でもなく、家庭の中での簡単な比較やごっこ遊びの中で、「思ったのと違った」「損した気がする」と感じたときに、親がどう受け止めさせるかという話です。
わが家では、長女がすでに月1000円のお小遣いを持っています。 使った日付・用途・金額をメモして、あとで親子で振り返るようにしています。 その中で、「思ったより残らなかった」「これは買わなくてもよかったかも」と感じることもあります。
大事なのは、結果をすぐに裁くことではなく、失敗の感情を話せる形にしておくことです。
まずは「残念だったね」で止める
子どもが損したと感じた瞬間、親はつい説明したくなります。 でも、最初に必要なのは正しさよりも、気持ちの受け止めかもしれません。
たとえば、こんな場面です。
- 100円を出したら、しばらくして120円になるつもりだったのに、結果は90円だった
- 増えるはずだと思っていたのに、減った
- 「得した」と思っていたのに、あとで見たらそうでもなかった
こんなときに、親がすぐに
- 「だから言ったでしょ」
- 「危ないってことだよ」
- 「向いてないんじゃない?」
と返すと、子どもは学びより先に、恥ずかしさや悔しさを感じやすいと思います。
わが家なら、最初の一言は短くします。
- 「残念だったね」
- 「思っていたのと違ったんだね」
- 「がっかりしたよね」
それだけで十分なこともあります。 気持ちが落ち着いていないうちに、意味のある会話を続けるのは難しいからです。
そのあとに、短く理由をたどる
気持ちを受け止めたら、次は短く振り返ります。 ここで長い反省会をすると、子どもは疲れてしまいます。なので、わが家なら1回で終わるくらいの軽さにします。
聞くことは、だいたいこの3つです。
1. 何を見て「増える」と思ったか 2. どこで「違うかも」と気づけたか 3. 次はどうしたらよさそうか
会話にすると、こんな感じです。
> 親:「最初はどうなると思った?」
> 子:「増えると思った」
> 親:「どうしてそう思ったの?」
> 子:「なんとなく」
> 親:「じゃあ次は、何を見たらよかったかな」
> 子:「先にちゃんと見る?」
> 親:「うん。説明を見てから決める、でもいいね」
大事なのは、親が答えを全部与えないことです。 子どもが自分で「次はこうしたい」と言えたほうが、疑似体験の意味が残りやすいからです。
「損した」で終わらせず、見方の違いを残す
子どもにとって大事なのは、結果が得か損かだけではないと思っています。 むしろ、「思い込みで決めると見落とすことがある」と気づくことのほうが、家庭での学びとしては大きいです。
たとえば、お菓子を2つ比べるだけでも、見方はいくつもあります。
- いま食べたいか
- 量はどのくらいか
- 家に似たものがあるか
- 値段はどうか
- その場の気分だけで選んでいないか
お金のしくみごっこも同じで、増えそうという印象だけで動くと、見落としが起きます。 だからこそ、「何を見て決めたのか」を言葉にしておくのが大切だと思います。
長女は少しムダ遣いが多いタイプなので、お小遣いの記録を見ながら「どうしてこれを選んだの?」と振り返ることがあります。 そのときも、正解を当てることより、「そのとき何を見ていたか」をたどる感じです。
疑似体験で損したときも、同じように
- どこを見落としたか
- 次は何を確かめるか
を短く残せれば、ただ嫌だった経験で終わりにくいです。
失敗の感情を、子どもが話せる大きさにする
失敗のあとに大事なのは、子どもが話せる大きさに整えることだと思っています。 特にお金の話は気持ちが強くなりやすいので、親が大きく扱いすぎないほうがいい場面もあります。
親が避けたい言い方
- 「だから危ないって言ったでしょ」
- 「もうやめなさい」
- 「向いてないよ」
- 「どうしてそんなことしたの」
こういう言い方は、その場を止める力はあっても、考え直す力は残しにくいです。 子どもが「損した」という気持ちを言いにくくなってしまうこともあります。
代わりに使いやすい言い方
- 「どこでそう思ったんだろうね」
- 「次は何を見ればよさそうかな」
- 「今回はこうだったね」
- 「もう一回なら、どう変える?」
このくらいの温度なら、失敗を責めるより、次につなげやすいと思います。
5歳の子には、深い説明より「増えたり減ったりする」を伝える
次女はまだ5歳で、お金の仕組みそのものが十分わかる年齢ではありません。 なので、同じことを伝えるにしても、長女のように細かくは話しません。
次女には、たとえばこんな程度で十分かなと思います。
- 「お金は増えることもあれば、減ることもあるんだよ」
- 「今日は減ったね」
- 「あれ、思ってたのとちがったね」
小さい子は、損した理由よりも、「減ることがある」という感覚そのものを知るほうが先です。 ここで仕組みを長々説明すると、かえって混乱してしまうことがあります。
年齢が違うと、同じ出来事でも伝える深さが変わる。 これは、わが家でお金の話をするときにいつも迷うところです。
疑似体験のあとに残したいのは、短いメモ
お金のしくみごっこや、ちょっとした比較のあとに家庭でできることは、立派な反省文ではないと思っています。 短く残せれば十分です。
| 残したいこと | 例 |
|---|---|
| 何をしたか | 「増えると思ってやってみた」 |
| どう感じたか | 「でも減って残念だった」 |
| 次はどうするか | 「次は先に見る」 |
長女のお小遣いの記録も、日付・用途・金額が残っていると振り返りやすいです。 疑似体験でも、同じように短いメモを残しておくと、あとから「何が起きたか」を思い出しやすくなります。
大事なのは、失敗を大きな物語にしすぎず、短く振り返れる形にすることです。
わが家で意識したいのは、「話せなくなる失敗」にしないこと
子どものお金の失敗は、ゼロにはできません。 でも、失敗したあとに話せなくなると、次につながりにくいです。
親が「だから言ったでしょ」と強く返すと、子どもは損した気持ち自体を話しにくくなることがあります。
だからこそ、親としては次の3つを意識したいです。
- まず気持ちを受け止める
- 理由は短くたどる
- 次の見方を1つだけ決める
この流れなら、疑似体験の失敗が「ただ嫌だった」で終わらず、次の判断につながります。
本物の投資をさせる話ではなく、家庭の中の簡単な比較やごっこ遊びで十分。 その中で子どもが「思ったのと違った」と感じたら、親は急いで正解を言うより、まずその感情に付き合う。 それだけでも、お金の学びは少しずつ残るのではないかと思います。
わが家でも、長女のお小遣いの振り返りを通じて、そんなふうに少しずつ練習しているところです。 親の私自身が、お金の教育をほとんど受けてこなかった分、子どもには「損したときの気持ちも話せる家庭」にしたいと考えています。

