「やりたいこと」と「向いていること」は同じなの?
子どもに「やりたいことと向いていることって同じ?」と聞かれたとき、どう答えますか?
私は明確に違う(違った)と言えますが、それは自身の経験から来るものであり、子どもに聞かれたときに果たしてそう答えてよいのか、と疑問に思うこともあります。
夢は大切にしたい。 でも、やりたい気持ちだけで選ぶと、あとで「思っていたのと違った」と感じることもある。 かといって、「向いているかどうか」だけで判断してしまうと、子どもの気持ちをしぼませてしまいそうです。
わが家なら、この質問に白黒つけるより、まずは「同じこともあるけど、いつも同じではないよ」と返すと思います。
やりたいことは“気持ち”、向いていることは“続けやすさ”も見る
やりたいことは、今の気持ちが強く出やすいです。
- おもしろそう
- かっこいい
- やってみたい
- すごそう
こういう気持ちは、子どもにも大人にもあります。 むしろ、何かを始める力としてとても大事です。
一方で、向いていることは、少し時間がたってから見えてくることがあります。
たとえば、
- 毎日やっても極端に疲れにくい
- うまくいかない日も、工夫しながら続けられる
- 人に頼りながらでも前に進める
- 苦手な部分があっても、なんとか回せる
こういう「続けやすさ」があると、その人に合っていることが多い気がします。
やりたいことはスタートの力。 向いていることは、続ける力にも関わる。 そんなふうに分けて考えると、少し整理しやすくなります。
夢を否定せずに、現実の見方を足す
ここで大事なのは、子どもの夢を先に折らないことです。
「それは向いてないんじゃない?」 「そんなの無理だよ」
こう言われると、子どもは「自分の気持ちを否定された」と感じやすいですよね。 なので、わが家ならまず受け止めます。
たとえば、
「いいね、やってみたいんだね」 「楽しそうに見えるんだね」 「その仕事、気になるんだ」
と、いったん気持ちをそのまま返す。 そのうえで、少しだけ現実の視点を足します。
「やりたい気持ちは大事だね。 それに加えて、長く続けられそうかも考えるといいかも」
「毎日やると、見ているより大変なこともあるよ」
「好きかどうかと、続けやすいかは別で見てもいいね」
この順番なら、夢を否定せずに話しやすいです。
「好き」と「向いている」がずれることもある
好きなことが、そのまま向いているとは限りません。 逆に、最初はあまり好きでなくても、やっているうちに合ってくることもあります。
たとえば、見ているのは楽しいけれど、実際に毎日やると疲れることがあります。 一方で、最初は地味に見えても、繰り返すうちに苦にならなくなることもあります。
これは仕事でも同じで、外から見た印象だけでは分からないことが多いです。
わが家の長女も、見た目や雰囲気で「楽しそう」と感じることが多いです。 それ自体はとても自然なことです。 ただ、実際にやってみると「思っていたより大変だった」となることもあります。
その意味で、好きかどうかだけでなく、
- 続けられそうか
- 苦手な部分があっても工夫できそうか
- 疲れすぎずにやれそうか
も、一緒に見ていけたらと思っています。
わが家で考える“向いている仕事”の見方
この記事では、「好きな仕事なら安くてもいいか」という話には寄せません。 そうではなく、向いている仕事をどう見つけるか、という方向で考えたいです。
親として見ていると、向いている仕事にはいくつかヒントがあります。
1. やっていて消耗しすぎないか
好きでも、毎日続けるとかなり消耗することがあります。 逆に、多少大変でも、やり方を工夫すれば続けやすい仕事もあります。
たとえば私の仕事はIT系で、画面を見て、考えて、直して、また確認することが多いです。 派手さはないですが、私はこういう「黙々と進める作業」はわりと合っている気がします。
もちろん疲れます。 でも、仕事の流れとしては極端に苦ではない。 こういう感覚は、向いている仕事を考えるうえで大事だと思います。
2. 苦手があっても回せるか
向いている仕事は、完璧に得意な仕事ではなくてもいいです。 苦手な部分があっても、周りに頼ったり、順番を工夫したりして続けられるなら、それも「合っている」の一つかもしれません。
3. 長くやったときに壊れにくいか
短期的には楽しくても、ずっと続けるとしんどい仕事もあります。 逆に、最初は地味でも、長くやるほど安定する仕事もある。 子どもには、この「続けた先」を少し想像する視点も渡したいです。
| 見るポイント | たしかめたいこと |
|---|---|
| 消耗しすぎないか | 毎日続けても極端に疲れにくいか |
| 苦手があっても回せるか | 周りに頼ったり工夫したりできるか |
| 長くやったときに壊れにくいか | 続けた先も無理なく想像できるか |
親子で話すなら、正解より“考え方”を渡す
この質問に、親がきれいな答えを出す必要はないと思います。 むしろ、考え方をひとつ渡せれば十分です。
たとえば、子どもにはこんなふうに返せます。
- 「同じこともあるけど、別のこともあるよ」
- 「やりたいことは気持ち、向いていることは続けやすさも見る感じかな」
- 「夢は大事だけど、長くできるかも大事だね」
- 「やってみて分かることもあるよ」
このくらい短いほうが、子どもも受け取りやすいです。
次女のようにまだ小さい子には、ここまで細かく話さなくても大丈夫です。 まずは「やってみたい」と「できそう」は違うことがある、くらいの感覚で十分かなと思います。
わが家のお小遣いでも、似たようなことを見ている
長女には月1000円のお小遣いを渡しています。 使った日付、用途、金額をメモして、あとで一緒に見返します。
この振り返りをすると、 「そのとき本当に欲しかったのか」 「買ったあとも満足だったのか」 「ちょっと待てたかも」 が見えやすくなります。
長女はどちらかというと、少しムダ遣いが多いタイプです。 たとえば、お店で見つけた小さなお菓子やガチャガチャを、勢いで選びたくなることがあります。 もちろん、たまに選ぶ楽しみも大事です。 ただ、お小遣いがなくなったあとに「やっぱり別のものに使えばよかった」となることもあるので、振り返りは続けています。
仕事選びも、少し似ている気がします。 最初の気分だけで決めるのではなく、やってみたあとに「続けやすさ」や「疲れ方」を見ていく。 一度見た印象と、実際に続ける感覚は違うからです。
子どもにはまだ早いかなと思うこともありますが、日常の中で少しずつ、 「気持ち」と「続けやすさ」は別 と伝えていけたらいいなと思っています。
今日からできる、やさしい声かけ
家庭でできることは、意外とシンプルです。
1. まずは「いいね」と受け止める
子どもが何かをやりたいと言ったら、最初の一言は受け止めるだけで十分です。
「いいね」 「やってみたいんだね」 「楽しそうだね」
そのあとで、 「毎日やるとどうかな?」 「大変なところもあるかもね」 と少し足すと、夢を壊さずに話せます。
2. 親の仕事を“続け方”で話す
仕事内容を細かく説明するより、 「どう続けているか」 を短く話すほうが伝わりやすいことがあります。
たとえば、
「今日は細かい確認が多かったけど、順番を決めたら進めやすかったよ」 「人に相談しながらやると続けやすいんだ」
こういう話なら、子どもにも仕事のリアルが少し伝わります。
私自身、親からお金や仕事のことをほとんど教わらずに育ったので、こうした日々の会話が、子どもには意外と大事なのかもしれないと思います。投資や税金も、今の自分が学びながら考えているところですが、だからこそ「わからないままにしない」姿勢は伝えていきたいです。
3. すぐに結論を出さない
「向いてるのかな?」と聞かれても、親が即答しなくて大丈夫です。
「まだ分からないね」 「やってみて分かることもあるよ」
このくらいでも、十分な会話になります。
「向いているか」を早く決めすぎると、子どもの挑戦する気持ちをしぼませることがあります。 まずは気持ちを受け止めてから、少しずつ現実の視点を足すほうが話しやすいです。
夢を育てるには、現実も少し必要
「やりたいこと」と「向いていること」は、ぴったり同じとは限りません。 でも、どちらか一方だけで決める必要もないと思います。
やりたい気持ちは、前に進む力になる。 向いているかどうかは、長く続ける助けになる。
この2つを一緒に見ると、夢をあきらめる話ではなく、夢を育てる話に近づきます。
わが家なら、子どもが「これやりたい!」と言ったら、まず気持ちを受け止めます。 そのあとで、少しだけ現実の視点を足して、 「長く続けられそうかも見てみようか」 と話すと思います。
正解を急がず、少しずつ考える。 そのくらいの温度感が、親子にはちょうどいいのかもしれません。

