お店屋さんごっこは、売る側の目線を入れると面白い
子どものお店屋さんごっこは、見ているだけでも楽しい遊びです。 でも、親の立場からすると、あれは「働くこと」を伝える入り口にもなります。
わが家でも、長女がぬいぐるみや紙の食べものを並べて「いらっしゃいませ」と言うことがあります。 そのとき私は、ただ買う側として乗るだけでなく、できるだけ「売る人は何をしているのか」を一緒に見てみるようにしています。
遊びなので、正確な商売の説明をする必要はありません。 ただ、売る側の視点を少し足すだけで、「お金をもらう前にやることがあるんだ」「売るのって思ったより大変なんだ」と、子どもにも伝わりやすくなります。
買う側だけだと見えないことがある
お店屋さんごっこは、子どもにとって「買う楽しさ」が中心になりがちです。 ほしいものを選ぶ。値段を言う。お金を払う。 ここまでは分かりやすくて、子どもも乗りやすいです。
でも、売る側には、見えにくい仕事がたくさんあります。
たとえば、こんなことです。
| 売る前にすること | 具体例 |
|---|---|
| 準備する | 何を売るか考える、商品を並べる |
| 管理する | 足りないものを補う、値段を決める |
| 終わらせる | 売れ残ったものを片づける、お店を終わらせる |
大人には当たり前でも、子どもには見えない部分です。 だからこそ、ごっこ遊びの中で少しだけ問いかけると、学びにつながります。
「お店の人は、売る前に何をしているんだろう?」 「これを並べるのに、どれくらい時間がかかりそう?」 「売れなかったら、どうするのかな?」
こうした一言があるだけで、遊びが「買うだけの遊び」から、「働く人の気持ちを考える遊び」に変わっていきます。

わが家なら、こんな声かけをするかもしれない
たとえば休日、家の中でお店屋さんごっこをするとします。 長女が「お菓子屋さんです。100円です」と言ったら、私はすぐ買うより先に、こんなふうに返すかもしれません。
「いいね。じゃあ、お店の人は何を準備したのかな?」 「商品を並べるのも仕事だね」
長女が「これを置く!」と並べ始めたら、さらにこう続けます。
「並べる前に、どれを売るか決めたんだね」 「お店の人って、売る時間の前にもやることがあるんだな」
もし子どもが勢いで「はい、全部100円!」と言ったら、そこで少しだけ現実を入れます。
「値段を決めるのも、お店の人の仕事なんだね」 「安ければいいだけじゃなくて、どうするか考えて決めるんだな」
こういうやり取りをすると、子どもは遊びながら、売る側の段取りを自然に意識しやすくなります。 親としても、働くことを「お金をもらうこと」だけでなく、「準備や工夫がいること」として伝えやすいです。
商売の大変さは、少しの不便さで伝わる
お店屋さんごっこを学びにつなげるなら、少しだけ「売る側の不便さ」を入れると分かりやすいです。 大げさにする必要はなく、遊びの流れを少し変えるだけで十分です。
1. 売り切れたら終わりにしてみる
「ほしいから何でも出す」のではなく、置いた商品だけでやってみる。 すると、子どもは「なくなったら終わりなんだ」と気づきます。
「もう1個ほしい!」と言われても、すぐには出せない。 この小さな不便さが、在庫や準備の感覚につながります。
2. 並べる時間をつくる
お店を始める前に、少しだけ準備の時間を入れる。 商品を並べたり、置き場所を考えたりするだけでも、子どもには新鮮です。
「はい、どうぞ」だけではなく、開店までにやることがある。 それが分かると、売る側の仕事が立体的に見えてきます。
3. 片づけまでをセットにする
売って終わりではなく、終わったあとに片づけるところまでやる。 これはかなり大事です。
片づけを入れると、子どもは「お店は楽しいだけじゃない」と感じます。 そして、働くことには“始める”だけでなく“終わらせる”力も必要だと伝わります。
お金の計算に寄せすぎると、遊びが急に勉強っぽくなってしまうことがあります。 小さい子には、数字よりも「準備がいる」「片づけまでが仕事」という感覚を先に伝えるほうが続きやすいです。
お金の計算に寄せすぎないほうが、遊びは続きやすい
お店屋さんごっこをお金教育に変えるといっても、いきなり「利益」「原価」「売上」をきっちり教える必要はないと思っています。 小さい子に細かい話を入れすぎると、遊びが急に勉強っぽくなってしまうからです。
私なら、まず伝わればいいと思うのは次の3つです。
- 売るには準備がいる
- 売るだけでは終わらない
- 片づけまでが仕事
この3つが分かるだけでも、子どもの中ではかなり大きいです。 あとから本物の仕事やお金の話をするときにも、つながりやすくなります。
逆に、ここで数字ばかりを押し出すと、子どもは「遊びなのに面倒くさい」と感じるかもしれません。 学びは大事ですが、遊びの楽しさを壊さないことのほうが先だなと思います。
わが家ですでにやっているお小遣いにもつながる
わが家では、長女に月1000円のお小遣いを渡しています。 使った日付、用途、金額をメモしてもらい、あとで親子で振り返るようにしています。 正直、まだまだムダ遣いも多いです。
だからこそ、お店屋さんごっこで「売る側の大変さ」を少しでも感じてもらえると、ふだんのお金の話にもつながりやすい気がしています。
たとえば、長女がすぐに何かを買いたがったときに、ただ「我慢しなさい」と言うのではなく、
「そのお金を使う前に、どんな準備があったかな」 「お店の人も、並べる前に考えていたよね」
と話すと、少しだけ視点が変わることがあります。 もちろん、毎回きれいにいくわけではありません。 欲しい気持ちが強い日は、話が全然入らないこともあります。
それでも、遊びや日常の会話の中で、少しずつ積み重ねるしかないのだろうなと思っています。
うちで試すなら、1つだけで十分
大きな準備はいりません。 今日の遊びで、どれか1つだけ入れるだけで十分です。
- お客さん役だけでなく、売る側の役も少しやってみる
- 「お店の人は何を準備したかな?」と1回だけ聞いてみる
- 売り終わったあとに「片づけもお仕事だね」と声をかける
- 値段を決める前に「何を売るか」「どう並べるか」を一緒に考える
わが家でも、そんなに毎回きれいにできるわけではありません。 子どもが気分で遊び方を変えることもあるし、親のほうもその日の余裕で対応が変わります。
それでも、繰り返していると、少しずつ残るものがあります。 「お店の人って、売るだけじゃないんだね」 「準備も片づけもいるんだね」
その気づきが、働くことへの理解につながっていく気がします。
親が教え込もうとしなくても大丈夫
最後に、これは自分にも言い聞かせていることですが、親が毎回うまく教えようとしなくていいと思います。
子どもの遊びは、その日の気分でころころ変わります。 こちらが少し声を足しても、聞いていないように見える日もあるでしょう。
でも、何回か繰り返しているうちに、子どもの中に残ることがあります。 「売るって、準備がいるんだ」 「片づけも仕事なんだ」 そんな小さな理解で十分です。
お店屋さんごっこは、買う楽しさだけで終わらせるにはもったいない遊びです。 売る側の視点を少し足すだけで、働くこととお金のつながりが、子どもにとってぐっと身近になります。

