「欲しい」を止めるより、まず理由を聞く
子どもが「これ欲しい」と言ったとき、親は少し迷います。
すぐ買うのはどうかな。 でも、頭ごなしに「ダメ」と言うのも違う気がする。 そんなふうに揺れることが、わが家でもあります。
この記事で大事にしたいのは、欲しい気持ちを止めることではなく、欲しい理由を整理することです。 そのために、わが家では買う前に次の3つを聞くようにしています。
- それ、何に使うの?
- ほかに似たものはある?
- いつまで待てる?
この3つは、説得するための質問ではありません。 子どもが「欲しい」を言葉にしやすくなるための、親子の確認作業です。
わが家ではすでに長女のお小遣い制度を始めていて、月に1000円渡しています。 使った日付、用途、金額をメモしてもらい、あとで一緒に振り返るようにしています。 長女はどちらかというと、少しムダ遣いが多いタイプです。だからこそ、日々の「欲しい」にどう向き合うかは、親として考え続けているところです。
1. それ、何に使うの?
まず聞きたいのは、用途です。
「かわいいから欲しい」 「みんな持ってるから欲しい」 「なんとなく欲しい」
こういう気持ちは自然です。 でも、用途を聞くと、子どもの考えが少し整理されます。
たとえば長女が文房具や小物を欲しがったとき、こんなふうに聞きます。
「それ、何に使うの?」 「学校で使う?」 「家で使う?」 「見るために欲しいのか、使うために欲しいのか、どっちかな?」
すると、最初は「かわいいから」としか言えなくても、
- ノートをきれいにしたい
- 机の上をかわいくしたい
- 絵を描くときに使いたい
のように、少しずつ言葉が出てきます。
ここで親が見たいのは、正解ではありません。 本当に使う場面があるのか、それとも気分だけなのかを、子ども自身が確かめる入口になることです。
用途がはっきりすると、買う・買わないの判断だけでなく、買うならどう使うかまで考えやすくなります。
2. ほかに似たものはある?
次に聞きたいのは、代わりです。
子どもは「これがいい」と思うと、それしか見えなくなりがちです。 でも、似たものを思い出すだけで、欲しい気持ちが少し落ち着くことがあります。
わが家でも、ノート、ペン、シール、小さなおもちゃ、工作の材料みたいなものは、似た役割のものが家にあることがあります。 そんなときは、こんなふうに聞きます。
「家にあるものと、何が違うの?」 「今あるので代わりになる?」 「似たものを使ってみて、それでも欲しかったら考える?」
この質問は、我慢させるためではありません。 持っているものと新しく欲しいものの違いを、自分で説明する練習になります。
たとえば、
- 色が違うから欲しい
- サイズがちょうどいいから欲しい
- 今あるものは使いにくいから、こっちがいい
のように、子どもなりの理由が出てきます。
逆に、理由がはっきりしないなら、今はまだ買わなくてもいいかもしれません。 ただし、親が先に「家にあるからダメ」と決めつけるのは避けたいところです。 似たものがあるかを確認するのは、禁止のためではなく、選ぶためです。
3. いつまで待てる?
3つ目は、待てるかどうかです。
「今ほしい」のか、少し時間をおけばよいのか。 ここを聞くと、衝動で欲しがっているのか、しばらく考えても欲しいのかが見えやすくなります。
わが家では、長女のお小遣いの場面でも、すぐ使いたい気持ちと、少し置いて考えたい気持ちが分かれることがあります。 そこで、こんな聞き方をします。
「今日じゃないとダメ?」 「1週間待てる?」 「お小遣いを使うなら、次はどうする?」
この問いかけで、子どもは“今の気持ち”と“少し先の気持ち”を分けて考えることになります。
待てないものももちろんあります。 必要な持ち物や、タイミングがあるものは別です。 たとえば、遠足の前におやつを買うときや、家族で出かけた先で「これなら今日はいいかな」と考えるときは、待つかどうかも含めて判断しやすいです。 また、お祭りや縁日での買い物、ガチャガチャのように、その場の楽しさが大きいものは、あらかじめ「今日はここまで」と決めておくほうが、子どもも納得しやすいことがあります。
日常の「欲しい」については、一度待てるかを聞くだけでも、気分で決める流れをゆるめやすくなります。
この3つは、我慢させるためではない
ここは少し大事です。
この3つの質問は、子どもを説得するための道具ではありません。 「どうせ買わないんでしょ」と感じさせると、子どもは話しにくくなります。
用途、代わり、待てるか。 この3つは、欲しい気持ちを否定するためではなく、欲しい理由を整理するための質問です。
親のほうも、いつも答えが分かっているわけではありません。 買ったほうがいいのか、やめたほうがいいのか、迷うことはあります。 だからこそ、すぐ結論を出さず、まず質問を挟むと、親子で同じ方向を見やすくなります。
わが家では、私が主にこうしたお金のことを考えています。 私は子どものころ、親からお金の教育をほとんど受けてこなかったので、子どもにはできるだけ早いうちから伝えたいと思っています。ただ、正解があるわけではないので、投資や税金のことも少しずつ学びながら、「家庭で何をどう教えると自然なのか」を試している途中です。
妻も、お金の教育をすること自体には賛成です。 ただ、細かく一緒に決めていくというよりは、基本的には私が考えている、という感じです。
この聞き方のメリット
- 子どもが欲しい理由を言葉にしやすい
- 親が感情だけで判断しにくくなる
- 衝動買いの前に一度立ち止まれる
- 「選ぶ力」の練習になる
注意したいこと
- 質問が多すぎると、取り調べみたいになる
- 親が正解を持っていそうだと、会話が止まる
- 毎回同じ口調だと、子どもが身構える
なので、3つを毎回きっちり全部聞く必要はないと思っています。 今日は用途だけ、今日は代わりだけ、という日があってもいい。 家庭の会話として続くことのほうが大事です。
実際には、1つだけ聞く日があっていい
いちばん小さく始めるなら、買う前に1回だけ止まることです。
たとえば、子どもが何かを欲しがったら、まずはこう聞くだけでも十分です。
「それ、何に使うの?」
これだけでも、欲しい気持ちが少し言葉になります。 そのあと余裕があれば、
「似たものはある?」 「今日は待てる?」
と続ければいい。 最初から3つ全部そろえなくても大丈夫です。
わが家でも、長女が「これ欲しい」と言ったら、まず使い道を聞きます。 そのうえで、家に似たものがないかを見て、最後に「今日は決めなくてもいいよ」と伝えることがあります。 たとえばスーパーやコンビニでお菓子を選ぶときも、すぐに「ダメ」と言うのではなく、「今日はお小遣いの中で選ぶ?」「家にあるおやつで足りる?」と確認するだけで、少し落ち着いて考えられることがあります。
また、長女はすでに自分のお小遣いを持っているので、「今買うと、次のお小遣いまで何ができるか」まで一緒に考えることもあります。 このあたりは、単に我慢させたいわけではなく、限られたお金の中で選ぶ感覚を少しずつ育てたい、という気持ちです。
一方で、次女はまだ5歳で、幼稚園に通っている年齢です。 お金のことはまだよく分かっていません。なので、無理に買い物の判断をさせるのではなく、家で「お菓子はどれにする?」「今日は1つだけにしようか」といった、身近な範囲のやり取りを少しずつ積み重ねるくらいがちょうどいいのかなと思っています。
親としては、すぐに結論を出したくなるときもあります。 でも、少し立ち止まって質問するだけで、子どもが自分の気持ちを整理する時間になります。
まとめ
子どもが「これ欲しい」と言ったら、止める前に次の3つを聞いてみる。
- それ、何に使うの?
- ほかに似たものはある?
- いつまで待てる?
この3つは、買うかどうかを即決するためではなく、欲しい理由を言葉にする習慣をつくるための質問です。
お金の教育は、難しい説明をすることより、こうした短いやり取りの積み重ねかもしれません。 わが家もまだ試行錯誤の途中ですが、少なくとも「欲しい」と言われた瞬間に慌てなくなったのは、この聞き方を意識するようになってからです。

