奨学金で積立投資して配当金で返済するのは有りか

教育資金

先に結論ですが、配当利回りが相当高くないと完全に配当で賄うのは難しそうです。

タイトル通りですが、私自身は奨学金を借りて大学へ通いました。(奨学金の使途は学費よりも一人暮らしの生活費の方がメインでしたが)

巷ではたびたび奨学金の是非が議論されますが、私は奨学金を借りたことに後悔はないです。これも人それぞれだと思いますが、借りる際に親ときちんと話して、社会人1年目から返済が始まることは理解していました。

ただし、奨学金の負担は大変に重かったです。
特に最初期の頃は途方もない返済期間と、トータルの返済額に気持ちが萎えたことを覚えています。
ちなみに現在も返済中です。

奨学金を投資に使う

奨学金の本来の使途ではないかもしれませんが、元本が無いときに超低金利で資金を確保できるという点で、奨学金を投資に使うのは魅力的だと思いました。
※倫理的にナシという考えも当然あると思います。

奨学金の種類にもよると思いますが、例えば経済学科の学生が勉強目的に投資を始めるというのは外道ではないと思います。

学生時代から奨学金でコツコツ積立して、社会人になったら投資の利益分で返済していけば、完済後にまるまるお金が残るんじゃなかろうか、というのが本記事の魂胆です。

私が借りた金額

奨学金で投資するシミュレーションをする前に、自身が借りた金額の詳細を記載します。

私が借りていた奨学金は日本学生支援機構(JASSO)の第二種奨学金です。
いわゆる有利子の奨学金です。

ネットで詳細情報が見れるので貼り付けます。大学名はしんどいので黒塗りです。

(まだ51回も返済残ってます。。2029年に完済予定)

月々8万円を4年間で、合計368万円借りました。(2005年4月〜2009年3月)
※多分在学後の申請なので最初の2ヶ月の16万円が無いので、8万 * 12ヶ月 * 4 = 384万円 – 16万だと思います。

私の利率ですが、「1.09434782%」です。
これは恐らくJASSOの有利子としては高い方だと思います。1%切る利率も結構ありえると思います。

月々17,000円程度を、およそ20年、240ヶ月かけて返済します。
返済総額は、17,161 * 239 + 17,231 = 4,118,710円 です。

元本を差し引くと、利子のみで 438,710円 です。
高い方の利率とはいえ、それでも20年返済でこの利子の金額はとんでもなく安いと言えます。住宅ローン並ですね。

奨学金も繰り上げ返済が可能です。(一括返済や部分一括など)

私はこれからも一括返済は行わない予定です。理由はもちろん投資で得られる利回りより、奨学金の利率の方が低いからです。


これが重要ですね。結局のところ、借金の利率より、運用の利回りが大きければ試算は増えていきます。

私が投資を始めたころ、最初に悩んだ、または後悔したのは2つです。

  • 元本をそこまで大きく入れられない
  • もっと早く始めれば良かった

学生の時分で、奨学金を使って18歳から投資が出来たら、↑の悩みは大きく解消できます。

シミュレーションしてみる

まずは何に投資するか、です。

前提として、私が借りた金額をモデルにします。

そして、奨学金は社会人になったら返済が始まります。
これを滞らせることはできません。なので下記を条件とします。

  • 積立投資であること(奨学金は月々入金されるケースが多い)
  • 開始から4年後に返済が始まる
  • 月々の返済額は17,161円程度
  • NISA口座は使う

理想は配当金で返済を賄う、です。
これが実現できれば、完済の20年後に投資元本を切り崩さずに手元に残ることになります。
自身では1円もお金を出さずに、ある程度の資産を築けるというわけです。

対象銘柄:日経平均高配当株50(1489)

国内の高配当株であれば、個別でも良いと思います。
今は単元未満株も買えるようになったので、個別でもある程度分散はできると思いますが、月々8万円しか入金できないことを考えると、ETFが良いように思います。

国内の高配当ETFでは日経平均高配当株50(1489) が有名でしょうか。
現在の利回りが3.75%なので、これでシミュレーションしていきます。

384万円の年利3.75%は144,000円です。年間の返済額206,000円には届かないです。ポイントは在学中の配当金のプールでどこまで賄えるか、になります。

日経平均高配当株50(1489)

利回り:3.75%
決算月:1,4,7,10月(年4回)

シミュレーション結果
年度元本配当プール(返済資金)返済額(月)
1年目(1月)800,000円15,750円0円
2年目(1月)1,760,000円68,250円0円
3年目(1月)2,720,000円156,750円0円
4年目(1月)3,680,000円281,250円0円
5年目(4月) ※返済開始3,840,000円300,089円17,161円
6年目(4月)3,840,000円238,157円17,161円
7年目(4月)3,840,000円176,225円17,161円
8年目(4月)3,840,000円114,293円17,161円
9年目(4月)3,840,000円52,361円17,161円
10年目(4月)3,840,000円-9,571円17,161円

大学卒業までに、317,250円が配当で溜まりますが、返済開始後6年目に資金がショートします。
毎年6万円ほど不足するようでした。

ここからは元本を切り崩していく必要が出てきます。
もちろんETF自体が値上がりすることで、配当以外の利益が出ている可能性も高いです。

6年目でのマイナスは思ったよりも早かったです。全然ダメでした。

では、月額返済に必要な利回りはいくらになるかを計算すると、約 5.36% です。
在学中のプールされるお金も考慮に入れると、約 4.88% です。

現在国内で4.88%の配当利回りを誇るETFは無いはずです。(減価償却型を除く)

もし、この銘柄で実践する場合ですが、日経平均高配当株50 自体が長期で上昇傾向にあるため、配当以外の利益も期待できます。
ただし、今回のシミュレーションでは配当を想定しているので、元本切り崩しが必要になります。

元本が550万円になれば返済を賄うことができるので、月々の積立額に+20,000円ほど上乗せするのも有りかもしれません。

他の選択肢 1

カバードコール型のETFは選択肢としてありかなと考えました。

しかし、返済を賄うことのみが目的となってしまうことと、18歳から投資を始めたのに上値の成長を捨てるというのがかなりもったいないので、オススメはできないと考えました。

カバコも有りだよ!ということであれば、QYLDが良いと思います。※ナスダック市場です。
こちらは大和証券が投資信託も出してます。

一歩先いく NASDAQ-100 毎月カバコ戦略(QYLD)

QYLDは利回り10%以上を誇ります。

他の選択肢 2

結局のところ、年利の良いインデックスに投資して、定額出金の設定をする方が良いように思いました。

S&P500の配当ナシの年平均成長は約7%です。

S&P500の投資信託につみたて投資して、返済が始まったら定額売却(毎月決まったタイミングで決まった金額だけ売却)設定すれば簡単ですね。

この場合にどのくらいお金が残るのか増えるのか試算します。

S&P500で積み立てる場合のシミュレーション

経過月 残高 出金額
112996,023円0円
2242,061,769円0円
3363,202,116円0円
4484,422,288円0円
5604,519,390円17,161円
6724,623,289円17,161円
7844,734,461円17,161円
8964,853,388円17,161円
91084,980,579円17,161円
101205,116,570円17,161円
111325,261,922円17,161円
121445,417,222円17,161円
131565,583,086円17,161円
141685,760,165円17,161円
151805,949,152円17,161円
161926,150,782円17,161円
172046,365,838円17,161円
182166,595,157円17,161円
192286,839,624円17,161円
202407,100,180円17,161円
212527,377,830円17,161円
222647,673,646円17,161円
232767,988,781円17,161円
242888,324,469円17,161円

完済したのに、手元には800万円以上残るんですね。

結論

高配当も、株価自体が上がる可能性はありますが、やっぱり成長重視で定額出金で返済の組み合わせが一番手元に残りそうです。

せっかく18歳から投資するなら、超長期でインデックスに積立するのが正解かなぁと思いました。

手元1円も出さずに、42歳で800万円手元に残ると考えるとすごい。。